2025年11月定例会 山口典久議員補正予算質疑
住民税非課税世帯エアコン設置促進事業について
- 【山口典久議員】
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日本共産党県議団の山口典久です。
県議団を代表して、第46号令和7年度長野県一般会計補正予算第5号案に関する質問を行います。
今議会に提案された補正予算案、いわゆる追加分は、国の総合経済対策の策定を受けて、一般会計、計108億2,045万1,000円に上るもので、物価高騰で生活にお困りの方への支援、食料品の価格高騰対策、エネルギー価格高騰対策、医療・介護分野等への賃上げ、物価上昇対応支援が打ち出されています。
11月に発表された長野市の消費者物価指数は、総合指数は2020年を100として114.4となり、前月比は0.7%上昇、また前年同月比は2.8%上昇し、50か月連続で前年同月を上回りました。異常なまでの物価高騰で、県民が苦しみ続ける中で、補正予算案には、私たちもこの間要望してきた県民の切実な願いが盛り込まれていることを歓迎します。
同時に、これらの施策が一層効果を発揮するよう以下質問をいたします。
最初に、住民税非課税世帯エアコン設置促進事業について質問します。
近年の猛暑の中でエアコンもなく暮らすことは、熱中症を引き起こす大きな要因となっており、健康というより命に関わる問題です。生活保護世帯に加え、住民税非課税世帯にも設置補助が行われることは貴重な前進と考えますが、対象は市町村が実施する支援事業となっています。
そこで支援を実施しない市町村の住民にも、県としての支援ができないでしょうか。また、設置を申し込む際の手続の簡略化や早期に設置する手だてを市町村と検討していただきたいと考えますが、いかがでしょうか。
- 【笹渕健康福祉部長】
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住民税非課税世帯エアコン設置促進事業についてでございます。
この事業は、各市町村において地域の実情に応じて事業の実施を判断していただくものであり、事業を実施しない市町村の住民に対し、県として直接支援を行うことは考えておりませんが、補正予算をご承認いただいた後は、速やかに市町村への説明及び意見交換会を開催し、できる限り多くの市町村に実施いただけるよう働きかけてまいります。
一方、設置を申し込む際の手続の簡略化や早期の設置など、円滑な事業実施に向けては、市町村と連携しながら検討を進めることが重要と考えており、事務処理要綱等について、県が標準例を示すなど、申請を受け付ける市町村窓口の実態に即した対応を図り、住民の皆様にとって利用しやすい事業となるよう取り組んでまいります。
医療・介護分野等の賃上げ・物価上昇対応支援事業について
- 【山口典久議員】
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続いて、医療・介護分野等の賃上げ、物価上昇対応支援について伺います。
県下でも、医療機関の経営悪化が働く人の手当等にも影響し、社会問題になっています。また、訪問介護報酬の引下げが事業所の経営を圧迫し、人手不足に拍車をかけ、廃業や倒産も広がっています。
そこで今回の賃上げ、物価上昇対応支援による医療と介護分野における賃上げ額を伺います。
また、財源は交付金ではなく国の事業とのことですが、困難な中で頑張っている医療・介護分野で働く人を支えるために、さらなる上乗せなど処遇改善につながる取組を検討していただきたいのですが、いかがでしょうか。
- 【笹渕健康福祉部長】
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医療・介護分野等の賃上げ、物価上昇対応支援についてでございます。
医療分野における賃上げ支援については、有床診療所が1床当たり7万2,000円、医科・歯科・無床診療所及び訪問看護ステーションが1施設当たりそれぞれ15万円、22万8,000円となっております。保険薬局については、1施設当たり7万円から14万5,000円となっております。この支援額の中から、施設の実情に応じて賃上げがなされるものと承知しております。
介護分野の賃上げ等の支援については、介護従事者に対して1人当たり月1万円の6か月分、6万円相当の賃上げ支援に加え、上乗せ分として、生産性向上や事業の共同化等に取り組む場合は、1人当たり月5,000円の6か月分3万円相当、職場環境改善に取り組む場合は1人当たり月4,000円の6か月分2万4,000円相当の支援を行います。
今回の国の総合経済対策には、賃上げ支援のほか、テクノロジーを活用した業務の効率化や職場環境改善に取り組む医療機関及び介護事業所施設等を支援する事業が盛り込まれていることから、今後こうした事業の活用等について検討し、さらなる処遇改善につなげてまいります。
介護施設等サービス継続支援事業について
- 【山口典久議員】
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介護施設等サービス継続支援事業について質問します。
介護施設等サービス継続支援事業では、設備備品の購入費用や食料品購入費用等を補助するとしていますが、同様の支援は、障害福祉サービス事業所等からも求める声が上がっています。賃上げ支援の上乗せと同様に、補正予算の活用、県の経済対策への盛り込みを検討していただきたいと考えますが、いかがでしょうか。以上、健康福祉部長に伺います。
- 【笹渕健康福祉部長】
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障害福祉サービス事業所等のサービス継続への支援についてでございます。
物価上昇の影響がある中においても、必要なサービスの円滑な提供は介護事業所と同様、障害福祉サービス事業所等においても重要であると認識しております。
このため、介護施設等サービス継続支援事業の趣旨や内容を確認しながら、価格高騰下において、障害福祉サービス等の継続に必要な支援についても今後検討してまいります。
保育士の賃上げについて
- 【山口典久議員】
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保育士の賃上げについて質問します。
医療介護分野とともに、ケア労働の現場である保育士の賃金は全産業平均と比べて約6万円低いと言われています。こうした中、働き方も厳しいこともあり、現場の人手不足は深刻で、保育士資格を持つ人のうち4割弱しか働いていない状況です。保育士の賃金は公定価格ですが、国の処遇改善策も十分な効果が上がっておらず、賃金引上げの対策が必要と考えます。県の所感を、こども若者局長に伺います。
- 【酒井こども若者局長】
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私には、保育士の賃上げの必要性の所感についてご質問いただきました。
他産業と比較した保育士の賃金水準につきましては、平均年齢や勤続年数が違うこともあり一概に比較はできませんが、現場の保育士等からは、職務に見合った水準になっていないとの声も多く寄せられ、また、保育士確保や定着の観点からも改善が必要であると認識しております。
現在、公立の保育所保育士の賃金は普通交付税で、また私立保育所保育士の賃金は国が定める公定価格に基づき、市町村から事業者に支払われる委託費により賄われておりますが、この公定価格のうち保育士の人件費分につきましては、昨年度は対前年度比で10.7%引き上げられ、本年度も5.3%引き上げられる予定であり、処遇改善に向けた対応が進んでおります。
また、県では、これまで国に対して、保育現場の実態に見合う改善となるよう要望を行うとともに、公定価格改定による人件費の増加分が保育士等の賃金に適切に反映されるよう、市町村を通じて設置法人等に要請してまいりました。
あわせて、公立保育所における処遇改善につきましては、県と市町村の子育て支援合同検討チーム等において、会計年度任用職員から任期付職員等への移行や、会計年度任用職員の処遇改善に関する依頼を行ってきたところです。
今後とも、多様な保育ニーズに応えられる質の高い保育の充実に向け、市町村等と連携し、労働実態に応じた処遇となるよう、引き続き国に強く要望する等、保育士の処遇改善に取り組んでまいります。
以上でございます。
食料品の価格高騰対策について
- 【山口典久議員】
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食料品の価格高騰対策に関連して質問します。
補正予算には、子どもの居場所の取組として、学習支援、食事提供、悩み相談、学用品等のリユースなど複数の機能を提供している信州こどもカフェへの緊急的な支援が盛り込まれました。
一方、信州こどもカフェと同様に、若年層や高齢者を含め生活にお困りの方の居場所として、食事提供などを行っている絆再生事業実施団体も運営困難を来しており、支援が求められています。国の補正予算の活用も検討していただきたいが、いかがでしょうか。健康福祉部長に伺います。
- 【笹渕健康福祉部長】
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絆再生事業実施団体に対する支援でございます。
議員ご指摘の絆再生事業実施団体については、県として、平成23年度から毎年補助金を交付し、その活動を支援しております。
今年度は県内の各圏域で活動する6団体に対して補助を行っており、各団体が、それぞれ定期的に生活困窮者に対するお困り事相談会や食事提供などの支援を行っていただいているところです。
こうした取組は、地域にとっても大変意義のあるものと認識しておりますが、近年、参加者の固定化や、支援する側される側双方の高齢化が進んでおり、活動内容の見直しが必要な時期に来ている状況もあると承知しております。
県といたしましては、現場の実態や課題等を丁寧にお聞きしつつ、他の民間団体とのバランスも見ながら、支援の在り方について検討してまいります。
以上でございます。
- 【山口典久議員】
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米の高騰対策は市町村事業とされていますが、おこめ券の評価や対応は自治体によって異なります。この間のお米の価格上昇を踏まえ、県としてどのような対策を考えているか。農政部長に見解を伺い、質問を終わります。
- 【村山農政部長】
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私には、米の価格上昇を踏まえた県の対策についてご質問をいただきました。
米の価格高騰は、国の需給見通しの誤りや複雑な流通構造など様々な問題が重なり、需給バランスが崩れたため発生したものと考えられることから、生産者も消費者も納得できる価格で安定的に供給消費されるよう、必要量を的確に捉えていくことが重要と考えております。
このため県では、県産米を確保し、県民にしっかり届ける仕組みを構築することが重要と考え、本年7月に、長野県産米生産・流通・消費等検討会議を設置し、生産量と価格について関係者と議論を深めており、生産量は検討データに基づき安定的に供給できる規模を来年の目安値として設定したところでございます。
さらに今後は、シンプルで効率的なサプライチェーンの構築や米の関連情報の発信強化を図るとともに、来年4月には生産コストを考慮した価格形成等を進める食料システム法が施行されることから、法律の実効性を高めるため、県が主体的に生産コスト指標を作成するなどの対策等を講じながら、適正な価格形成と価格の安定に取り組んでまいりたいと考えております。
以上でございます。