日本共産党長野県会議員団

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議会質問

2026年2月定例会 藤岡義英議員一般質問

  1. 民泊に対する規制について
  2. 地球温暖化対策について
  3. SNS上の誹謗中傷・差別的発言等への対策について

民泊に対する規制について

【藤岡義英議員】

 日本共産党県議団の藤岡義英です。よろしくお願いします。
 民泊問題について質問します。
 民泊需要が急増する一方、騒音・ごみ・マナー違反といった近隣トラブルが顕在化し、さらに許可を得ていない隠れ民泊が、そうしたトラブルの温床となっています。
 丸山県議も代表質問で取り上げられましたが、私からも3点質問いたします。
 無許可・無届けの宿泊施設に対し、県では建物の所有者への営業中止や許可取得の指導に加え、インターネット上で宿泊者を募る施設をAIも活用して把握し、営業許可の有無を確認する事業を昨年に開始されました。 この事業の導入前には、どのような状況や課題があったのか。また、導入後、現時点でどの程度効果を発揮しているのでしょうか。

【笹渕健康福祉部長】

 私にお尋ねがございました。
 初めに無許可・無届けの宿泊施設の把握に関する事業についてでございます。
 県では、これまで無許可・無届けの宿泊施設を毎年10件程度把握しておりましたが、そのほとんどが住民の方からの通報によるものであり、県として積極的に施設を探知することは物理的にも、また職員の業務の効率性の観点からも限界があることが課題でございました。
 そこで無許可・無届けの宿泊施設のほとんどがインターネット上で宿泊者を募っている行為に着目し、その情報をAIを活用するなどして検索・収集する事業を昨年12月に開始したところでございます。
 この事業により、これまでインターネット上で収集した宿泊施設の情報は全体で4,871件と、職員が行うよりも遥かに効率的、効果的に多くの情報を収集することができております。現在収集した情報と、旅館業許可台帳、住宅宿泊事業届出台帳との照合を行っており、開設者、施設名、所在地等から、今後、無許可・無届けであることが確認された場合は、委託事業者や保健所において、現地確認を実施し必要な指導を行ってまいります。

【藤岡義英議員】

 民泊事業は、旅館業法によるものと、住宅宿泊業法によるものの2種類があります。
 まず、旅館業法に基づく簡易宿所について質問いたします。
 旅館業法が改正され、従業員の駐在規定が緩和され、緊急時におおむね10分程度で職員が駆けつければよいとなりましたが、軽井沢町などでは、こうした施設で連絡がつかない、つながってもなかなか駆けつけてこない、夜間に対応してくれないなどのため、騒音などのトラブルが常態化しています。
 従業員が常駐しない駆けつけ型の宿泊施設において生じているトラブルについて、抜き打ちで調査するとの答弁がございましたが、相手がいなければ調査できないとも思います。県はどのように対応しているのでしょうか。

【笹渕健康福祉部長】

 従業員が常駐しない旅館業法の許可施設への対応についてでございます。
 これまで旅館業法に基づく簡易宿所等における周辺の生活環境への悪影響に対しては、発生したトラブルの内容に応じて、管轄する保健所や地元自治体、関係機関が連携して、それぞれが所管する法令等に基づき指導等を行ってきたところでございます。
 軽井沢町のケースでは、町と警察署と協議を重ね、地域住民の皆様の協力もいただくことで、実際にトラブルが発生している現場をしっかり確認できるよう抜き打ちで調査する体制を整えるなど、地域の実情に合わせて、より実効性ある取組を進めてきております。
 また、今般、国の旅館業に関する要領において、周辺の生活環境への悪影響に対しても、旅館業法上も指導の対象とできること、そして、宿泊者だけでなく、周辺住民からの苦情等にも適切に対応するように事業者の連絡先を施設外部に表示することなどが追加されております。こうした点も踏まえながら、宿泊施設のトラブルが発生した際に、従業員等が適切に対応するための一定の規制を設けることについても、今後条例改正も視野に検討してまいります。

【藤岡義英議員】

 住宅宿泊業法に基づく許可を得て営業している民泊施設についても質問いたします。
 住宅宿泊業法による一戸建ての住宅の簡易宿所への用途変更が増え、第一種低層住宅専用地域での宿泊サービスも可能となり、軽井沢の別荘地などに不特定多数の宿泊者が出入りし、トラブルの原因となっています。メディアも深刻な社会問題として報じています。全国的な住宅宿泊事業の増加を受け、各地で条例改正による規制強化が進んでいます。
 一つだけ紹介しますと、墨田区の条例は、事業者に対し、原則として金曜日正午から日曜日正午までの期間のみ営業を認めるという厳しい営業日の制限と、これまで「無人」で運営してきた小規模な民泊施設に対し、実質的な「有人管理」を強く求める内容へと規制強化されています。
 県の住宅宿泊事業についても、それぞれの地域の実情に合わせて営業できるエリアの限定、営業日の制限、無人運営の禁止など、規制強化を検討すべきではないでしょうか。
 健康福祉部長にお伺いいたします。

【笹渕健康福祉部長】

 住宅宿泊事業における規制強化の検討についてでございます。
 現在県では、住宅宿泊事業法に基づき、宿泊施設周辺の生活環境を保全する観点から、社会教育施設や医療福祉施設の周辺区域、住宅地など事業を制限する類型を定め、市町村の意向を踏まえた上で、県条例等において、事業の制限を行う区域や期間などを定めているところでございます。
 議員ご指摘のような家主等が常駐しないいわゆる無人営業ができない区域や期間の追加などの規制強化につきましても、引き続き、市町村からの地域の実情に基づいた申し出を踏まえ対応してまいります。
 また、県といたしましては、今後大幅な規制強化を新たに行う際は、地域住民と既存の民泊事業者双方に配慮いただくとともに、地域の合意形成を丁寧に行っていただくことも市町村に求めていきたいと考えております。
 以上でございます。

【藤岡義英議員】

 民泊についてですが、先日、「条例改正も視野に入れて検討していきたい」と知事からご答弁がございました。ご期待しております。

地球温暖化対策について

【藤岡義英議員】

 地球温暖化対策について5点質問いたします。
 県は、ゼロカーボン戦略ロードマップシナリオに基づき温室効果ガス削減の様々な取組を行ってきましたが、このままの進捗では、2030年60%削減の目標達成は困難だとして、条例改正も行いながら施策を着実に進めるとの方針です。
 太陽光発電設置件数を、現状のペース30年に住宅屋根は12万件を22万件に、事業所屋根、1.1万件を1.5万件に引き上げるとしています。そのために、延べ床面積300平方メートル以上の新築建築物へ設置義務を課すとしています。
また、新築住宅は、高断熱・省エネ機能のZEH水準を義務化するとしています。
 しかし、その建設費はさらに、400から500万円以上かかります。義務化だけでは、目標とする太陽光の設置件数も新築住宅ZEH100%も達成は難しいのではと感じております。
 そこでゼロカーボン戦略の目標を確実に達成するため、支援策についても予算の拡充や内容の強化が必要ではないでしょうか。屋根ソーラーについてのご見解を環境部長に、ZEH住宅についてのご見解を建設部長にお伺いします。

【小林環境部長】

 私には地球温暖化対策に関してご質問を頂戴しました。
屋根ソーラーの支援策の予算の拡充や内容の強化についてでございます。
 県としては、今般、県議会に提出しました屋根ソーラー等、再生可能エネルギーの導入義務化も考慮しながら、併せて支援策も拡充強化し、予算の確保に努めていく方針でございます。
 まず、今年度から開始しました初期費用が必要ないゼロ円ソーラー事業者登録制度について、来年度は事業所向けにも拡大していく予定でございます。
 また、現在実施しております、屋根ソーラーと組み合わせた蓄電池や、EVと住宅の双方向の充給電設備でございますV2Hの導入に対する補助につきまして、来年度からは屋根ソーラーと組み合わせたEVの導入をメニューに追加しまして、EV導入の加速化とともに、屋根ソーラーそのものの普及にもつなげていくところでございます。
 さらに、今年度から実施しております積雪地域に適した方法で設置します雪国太陽光設置モデル創出事業につきまして、今年度後半から設置要件を緩和し、さらに来年度も事業を継続していくこととしたところでございます。
 加えまして、県内の多くの市町村が実施しております屋根ソーラー設置補助事業の情報を一元化したポータルサイトの充実を図りまして、その活用を促していくこととしております。
 今後もさらなる効果的な支援策を検討してまいる所存でございます。

【栗林建設部長】

 私にはZEH住宅支援策についてご質問いただきました。
 ZEH水準以上の性能を持つ信州健康ゼロエネ住宅に対しましては、支給する助成金を2023年度に最大150万円から200万円に拡充するとともに、助成件数も毎年増やしております。また、来年度も今年度を上回る予算を計上しているところでございます。
 ZEHの施工実績がない県内中小工務店に対しましては、着実に施工ができますよう、施工概説書や動画を作成して講習会を行っており、来年度から新たに断熱実技研修会を開催し、技術力の強化を図ってまいります。
 こうした支援策を通じまして、2030年度までの目標達成に向け、関係団体と連携してZEH住宅を普及させてまいります。
 以上です。

【藤岡義英議員】

 2030年の目標の温室効果ガス排出量60%削減を達成するためには、様々な取組において、市町村との連携を一層強化し、支援策や施策を一体的に進めていく必要があると考えますが、見解を環境部長にお伺いいたします。

【小林環境部長】

 市町村との連携強化や施策の一体的な推進についてでございます。
 温室効果ガス排出量6割削減という高い目標を達成するためには、市町村はもとより、県民・事業者に広く呼びかけ、一体となって取り組むことが肝要でございます。
 県では、これまでもエネルギー自立地域創出に向けた市町村の計画策定の伴走支援や、地域共生型のソーラーシェアリング普及促進事業の優良モデル構築に向けた市町村との検討を行ってきたほか、市町村の小水力発電事業の計画策定の支援やノーマイカー通勤を呼びかけます信州スマートムーブ通勤ウィークの市町村との共同実施など、脱炭素社会づくりに向けて市町村と連携して取り組んでいるところでございます。
 今後は、さらに新たに実施予定の家庭向け省エネ運動において、市町村と連携して住民への働きかけを行うとともに、トランジットモール等の整備によるウォーカブルなまちづくりを目指し、市町村との協議を進めていくなど連携を一層強化してまいる所存でございます。

【藤岡義英議員】

 太陽光パネルの廃棄については、2030年代半ばから廃棄量が急増し、埋立て容量のひっ迫が懸念されるなど大きな課題となっています。国は、メガソーラー事業者にパネル廃棄計画の事前提出、リサイクルの義務づけなど、使用済み太陽光パネルのリサイクルに向けた制度案を検討していますが、パネル廃棄量が少ない中小事業者や住宅屋根のものに関しては、対象外のようです。
 長野県としても、リサイクル技術を有する専門業者の育成を進めるなど、今から太陽光パネル廃棄への対策に着手すべきと考えますが、見解を環境部長にお伺いいたします。

【小林環境部長】

 太陽光パネルの大量廃棄への対策についてでございます。
 太陽光パネルにつきましては、今後、2030年代以降、全国で年間最大50万トンにも上る量が廃棄されていくと予測されておりまして、そのリサイクルの推進は喫緊の課題となっております。
 このような状況の中、国では現在、太陽光パネルのリサイクル推進法案を検討しておりまして、この中に太陽光パネルの処理について、破砕して単純に埋立処分するのではなく、金属・ガラス資源として再利用可能な高度なリサイクルを推進するため、複数自治体にまたがる広域的な処理を行うことを念頭に、一定水準以上のリサイクルができる業者を国が認定する制度を盛り込む方針であると承知しているところでございます。
 本年2月現在、県内には太陽光パネルの専用リサイクル施設を有する業者は2社あるところでございますが、県としましては、今後リサイクル技術の高度化を図るとともに、県内事業者の新規参入を促すために、関係する部局・団体と連携しまして、国のリサイクル施設導入補助事業や高度なリサイクル技術等の情報を事業者に提供していくほか、太陽光パネルの処理技術等に関する研修会を開催するなど、レベルの高い事業者の育成を図ってまいりたいと考えております。

【藤岡義英議員】

 SNS等では、メガソーラーの乱開発や太陽光パネルの大量廃棄、有害物質のリスクなどリサイクル問題が取り上げられ、太陽光発電へのネガティブな意見が広がっています。こうした情報によって、設置意欲が弱まるのではと懸念しています。
 太陽光発電は、屋根など既存スペースで活用でき、燃料費も不要で、長期的に安全な再エネがあることを積極的に発信し、屋根ソーラーの設置促進に向けた県民世論を高めるべきと考えますが、環境部長にご見解を伺います。

【小林環境部長】

 屋根ソーラーの積極的な情報発信についてでございます。
 屋根ソーラーは地上設置型のソーラーに比べ自然環境への影響が少なく、多くの県民が既存の屋根を活用して導入できることから、県としてその普及を推進してきたところでございます。
 これまでポータルサイト「つなぐ信州屋根ソーラー」を構築したほか、テレビCMや新聞広告、住宅雑誌への記事の掲載など様々な媒体を利用して、屋根ソーラーの環境への適合性や既存の空きスペースの活用といった点も含めまして、その導入の意義やメリットの発信に取り組んできたところでございます。
 今後は、ポータルサイトのさらなる充実を図るとともに、現在、議会に提出しております再エネ設備の導入義務化の条例改正案を踏まえまして、屋根ソーラーを載せた家づくりを始める層や、将来のユーザー候補でございます子供世代をターゲットにした斬新なリーフレットを作成するなど、屋根ソーラーの理解促進に向けた情報発信を強化し、建築物において、屋根ソーラーの設置が標準であるという機運を醸成してまいりたいと考えております。
  以上でございます。

【藤岡義英議員】

 追加議案として、ゼロカーボン基金に新たに40億円を積み立てるとの提案が示されました。この40億円の活用内容について伺います。
 また基金として積み増すのではなく、関連事業の予算を抜本的に増額し、助成制度の拡充・強化を図るなど、目標達成に向けて早期かつ積極的に事業化すべきと考えますが、これは知事にご見解をお伺いします。

【阿部知事】

 私にはゼロカーボン基金の活用内容と早期の事業化に対する見解というご質問でございます。
 ゼロカーボン基金につきましては、平成26年度に企業局の売電収益の一部を原資として創設をさせていただき、令和3年度のゼロカーボン戦略の策定に合わせて総額10億円に積み増しし、再生可能エネルギーの導入支援やゼロカーボン関連技術の開発助成などに活用してきたところでございます。
 今回40億円積み立てさせていただくゼロカーボン基金の活用内容といたしましては、信州健康ゼロエネ住宅の普及等によるオールZEH化の推進であったり、信州らしい環境負荷の少ないライフスタイルへの転換など、既存施策の拡充にとどまらず、新たな施策の実施にも活用していきたいと考えております。
 2030年度の排出量6割削減という目標達成が厳しい局面にある中、今回ゼロカーボン戦略の中間見直しを踏まえ、目標達成に向けて当初予算につきましても拡充を図らせていただいたところでございます。
 加えて、今回このゼロカーボン基金、今後機動的な財政投入を可能として安定的な施策を実施していくため、これまでにない40億円規模で基金を大幅に積み増しをさせていただくことといたしました。取組の加速化にしっかりつなげていきたいと考えております。
 脱炭素化の推進には、一刻の猶予も許されない状況でありまして、その実現は将来世代に対する責任でもあるというふうに考えております。今後とも積極的な事業推進を図っていきたいと考えております。
 以上です。

【藤岡義英議員】

 地球温暖化対策についてですが、複数の市町村の担当者から取組をお聞きしました。太陽光・蓄電池・EVなどの支援策を「実施している」、「これから導入を検討している」、「実は来年度で助成制度を終了させる」と、ばらばらな印象を受けました。県から連携の提起があればありがたいとの声があったことも紹介いたします。
 昨年は、統計開始以降で最も暑い夏となりました。山火事も、極端な乾燥と強風が重なり火災規模が大きくなる傾向だとのことです。気候危機と異常気象は、国内でもかつてないスピードで深刻化・頻発化しており、ゼロカーボン戦略の目標達成は絶対条件です。
 ここで、長野オリンピック開催時の交通総量30%削減を目標とした交通規制が教訓になるのではと思い紹介いたします。
 過去の資料や記事によりますと、県警や長野市、長野オリンピック大会組織委員会で組織する交通総量抑制推進会議が、「選挙運動のように」小まめに企業回り行い、マイカーの自粛、公共交通機関への乗換えを呼びかけチラシを386万枚配布。新聞・放送による広報活動も展開。その結果、期間中の長野市内の交通量は24時間で7%、午前7時から9時までは20%削減し、効果てきめん。交通規制が行われた周辺地域では37.2%がマイカーを自粛し、公共交通機関で通勤したと回答しています。本当に必要な事業だと県民が受け止めれば、協力が得られ、大成功した事例だと思います。
 県はこれまでノーマイカー通勤を実施する事業者を募集して信州スマートムーブ通勤ウィークを実施し、期間中に削減した二酸化炭素排出量を公表するなど取り組まれておられましたが、事業者だけでなく、広く県民にも協力を求めていくべきではないでしょうか。大胆な事業展開を期待しまして、次の質問に移ります。

SNS上の誹謗中傷・差別的発言等への対策について

【藤岡義英議員】

 SNS上などでの誹謗中傷や差別的な投稿が頻繁に問題となり、対策が課題となっています。こうした状況に対して、自治体の取組が広がり始めています。
インターネット上での誹謗中傷から、被害者を守ろうという条例は、まず、群馬県で20年に導入されてきました。専門の被害者相談窓口を設置し、3年3か月の間に1,000件近い相談が寄せられているとのことです。こうした条例は、昨年12月時点で全国で8府県に、市区町村レベルでは15自治体にまで広がっています。
注目されるのが兵庫県と宮城県で、両県とも知事選をきっかけに条例制定の動きが始まっています。 兵庫県では、知事選の前後、特定の個人や候補者に対する誹謗中傷がSNS上に蔓延し、大問題となり、昨年12月、「インターネット上の誹謗中傷、差別等による人権侵害の防止に関する条例」は成立しています。
 宮城県でも、知事選で候補者に対する誹謗中傷や虚偽情報がSNS上で広がり、社会問題となりました。選挙後、宮城県議会は、条例制定を目指す検討会を発足。罰則規定を盛り込むべきではと検討されているそうです。
 長野県の場合は、人権全般を包括した条例を制定し、「インターネット上の誹謗中傷等による人権侵害の防止」を規定し、ネット上の誹謗中傷や差別的な発言を禁止することを検討していると理解しています。
 そこで質問いたします。
 兵庫県では、ネット上の人権侵害を、1、誹謗中傷、2、プライバシー侵害、3、不当な差別に分類し、不当な差別情報については、被害者の申出の有無にかかわらず、県が独自にネット空間をモニタリングし、県内の個人や集団に対する人権侵害情報を確認する仕組みを条例で規定しています。長野県としても、兵庫県のようなモニタリング事業を検討しているのでしょうか。

【直江県民文化部長】

 ご質問を頂戴いたしました。
 インターネット上の人権侵害行為のモニタリングについてのお尋ねでございます。
 インターネット上の誹謗中傷や差別情報は、深刻な人権侵害につながるものであり、県としても大きな課題と認識しておりますが、情報発信する者の表現の自由を不当に侵害しないことが重要であると考えているところでございます。
 このため、表現の自由との調整を図る観点から、県では、法務省が違法性があると認めている同和地区に関する識別情報の摘示行為に限定してモニタリングを実施しているところでございます。
 一方で、県が幅広い言動全般をモニタリングの対象とすることは、憲法第21条第2項の検閲の禁止の趣旨に抵触する恐れもあることから、慎重な対応が必要であると考えております。

【藤岡義英議員】

 鳥取県の条例では、全国初の罰則付き条例が制定されました。SNS等上での誹謗中傷や差別的発言について、県民からの申出を受け、知事が有識者協議会の意見を踏まえて該当性を判断し、発信者に削除を要請する仕組みがあります。削除に応じない場合は削除命令を行い、なお従わなければアカウント名や氏名を公表し、5万円以下の過料を科すことができるとする内容です。 一方、本県の人権条例骨子には削除要請等はあるものの、発信者が応じない場合の規定は確認できません。条例制定に向け、鳥取県のような罰則規定の導入も検討しているのでしょうか。以上2点を県民文化部長にお伺いいたします。

【直江県民文化部長】

 長野県人権尊重の社会づくり条例(仮称)におけるインターネット上の人権侵害への罰則規定の導入についてでございます。
 現在検討している条例は、県民の人権意識を高めるとともに、人権尊重の理念や重要性を共有し、人権が尊重される社会の実現を目指すものでございます。したがいまして、罰則という強制手段に訴えて人権侵害行為の抑制を図ろうとするものではなく、条例の骨子案には、ご指摘のような罰則規定を設けておりません。
 罰則規定を設けた鳥取県条例の取組は、先行例としてその運用状況や課題を研究していくべきものと考えておりますが、本県としては、まずは人権教育及び人権啓発、インターネットリテラシーの向上に向けた啓発等を推進することが何よりも大切であると考えております。
 一方で、インターネット上の誹謗中傷や差別情報は大きな人権課題であることから、骨子案では、人権侵害行為に関する相談支援体制の充実に加え、県民が人権侵害行為を受けた場合に備えて、人権オンブズパーソン(仮称)を核といたしました救済体制を設け、当該情報の削除要請を含めた対応を行うこととしております。
 以上でございます。

【藤岡義英議員】

 人権侵害行為とまでは判断が難しいフェイク・デマ情報への対応をどのように進めていくのか伺います。例えば、地元の新聞社やテレビ局と協定を結び、第三者的な組織によるファクトチェック体制を整えることも検討すべきではないでしょうか。また、独自にネット上の誹謗中傷やデマ情報を監視する民間への支援などの取組も必要ではと考えますが、知事にご見解をお伺いします。

【阿部知事】

 私にはフェイク・デマ情報への対応、そして第三者的組織によるファクトチェック体制についてご質問いただきました。
 メディアや民間団体によります自主的なファクトチェック活動を行われているということは承知をしておりますが、こうした活動には、やはり中立性、公平性などが担保されることが必要というふうに考えております。
 総務省においても、デジタル空間における情報流通の健全性確保の在り方に関する検討会というものが開かれましたが、様々な主体によりファクトチェックが行われることはデジタル空間における情報流通の健全性確保にとって重要であるというふうにされた一方で、政府、公的機関などから、ファクトチェック組織の独立性が確保されるべきというふうにされております。こうしたことから、こうした活動に県が関わるということについては慎重さが求められるというふうに考えております。
 今、様々な情報がデジタル空間を駆け巡っている状況でございます。
大切なことは、県民の皆様方がインターネット上のフェイク情報、あるいはデマ情報に惑わされることなく、主体的に正確な情報に基づき判断できるためのインターネットリテラシーを向上していくことだというふうに考えております。そのための様々な学びの場の提供、あるいは普及啓発に県としては取り組んでいきたいと考えております。
 一方選挙に関連してということでありますが、ご質問の中にも他県の選挙の事例がございましたが、知事会においても、この選挙に関連してのフェイク・デマ情報についてはかなり高い関心を持っているところでございます。
 現在、地方自治・民主主義の確立に向けた研究会というものを設置をさせていただき、選挙制度の在り方についての議論を有識者の皆さんと一緒に深めているところでありますが、その中でもSNS等インターネットも含めた適正な選挙運動の在り方について、論点の一つとさせていただいているとこでございます。
 これは、一つ間違えると民主主義そのものを覆すおそれがあるという深刻な問題だというふうに私としては考えておりますが、その一方で、その言論の自由との関係で非常にセンシティブな問題でもあるというふうに考えております。
 このフェイク・デマ情報等への対応も含めて、知事会の研究会の場におきまして議論を深め、国に対する提言等につなげていきたいと考えております。
 以上です。

【藤岡義英議員】

 長野県でも8月に知事選が行われます。誹謗中傷・デマ・フェイク情報に翻弄されるのではなく、正しい情報に基づき、政策論戦によって政治活動や選挙運動が行われる社会へ向かうことを希望し、質問を終わります。

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