○知事(田中康夫君)
ただいまの備前議員の御質問にお答えを申し上げます。
まず、いわゆる住基ネットの選択制ということに関して、これは先ほど清沢議員の御質問にもお答えをしているところであります。審議会報告で指摘をされました住基ネットの現状や課題等については、現在、県内各地で、市町村や県民の皆様の住基ネットに関する理解を深めるべく、審議会委員による説明会を開催しております。
監査委員候補者の所属党派調査に関してでございます。
監査委員の選任に当たっては、地方自治法の選任要件として所属党派に関する事項の把握は必要とされてはおりません。したがいまして、私といたしまして、所属党派に関しての調査はいたしておりません。
なお、昨日、向山議員の監査委員の人事案に関しまして、内山卓郎氏を代表監査委員に予定している旨答弁をいたしましたが、これは、常勤監査委員と申し上げるべきところを私が間違えて答弁したものでございまして、この場で修正をさせていただきたく思います。
福祉医療に関しての部分でございます。
福祉医療制度は、長野県と県内の120市町村が長野県における福祉医療制度のあり方を総合的、抜本的に見直し、新しい福祉医療制度のモデルを構築するべく、平成13年11月に福祉医療制度のあり方検討委員会を設置いたしました。この委員会では、県内外の有識者の方々から御意見を伺うとともに、県民アンケートの実施など各方面から幅広く御意見等を取り入れ、昨年8月に提言書がまとめられております。
長野県と市町村はこの提言に基づいた改正を行い、本年7月から実施をしているところです。
今まで窓口無料を実施していた市町村は、長野県内に11市町村ございました。この7月からは、このうちの9市町村が窓口無料から自動給付方式へと移行しております。
自動給付方式は、福祉医療制度対象者であれば、どなたでも、また、県内のどこの医療機関を御利用になっても、受給者証を窓口で提示するだけで後日市町村から給付金が振り込まれる方式でございます。
社会保障や福祉サービスにおいては、制度の対象者すべてに等しくアクセス権を保障することは極めて重要なことでございまして、窓口無料から自動給付方式へ移行した市町村では、国民健康保険の重度心身障害者など制度対象者の一部の方々だけに限定されて窓口無料方式がとられていた点を改正して、すべての制度対象者が同一のサービスを等しく受けられるようにしたものであります。
地域金融に関しての御質問の部分です。
地域の金融機関が長野県経済の活性化のために果たすべき役割は、非常に重要であります。このため、長野県は、厳しい景気情勢のもとで苦しんでおられる中小企業が円滑に資金を調達できるよう、長野県の制度資金を中心とした中小企業金融施策の充実に加えて、金融機関に対しても、中小企業の実情をきめ細かく勘案した資金供給が図られるよう、私自身、6月16日に長野県銀行協会会長の八十二銀行頭取、6月19日には長野県信用金庫協会会長の諏訪信用金庫理事長、さらに6月26日には商工部長の井上忠恵と産業活性化・雇用創出推進局長の丸山康幸が長野銀行頭取、長野県信用組合会長にも直接お願いをいたしました。また、他の金融機関に関しましても文書で改めてのお願いをしております。
さらに、現在設置しております貸付110番などの金融相談において貸し渋り、貸しはがしの実態が多数確認された金融機関等に対しましては私みずからが直接申し入れを行うなど、長野県としてのルールともいえますものを確立し、中小企業の金融円滑化に向けて最大限の努力をいたしております。
地域金融機関の今後のあり方についても、金融庁において、書類審査のみでなく、企業に出向いて実態を把握することなどにより長期的に情報を蓄積し、この情報をもとに融資などの金融サービスの提供を行うリレーションシップバンキングの機能強化に関するアクションプログラムが平成15年3月策定されたところです。このプログラムは、平成15年度から16年度の2年間を集中改善期間とし、地域金融機関における中小企業金融機能の強化を確実に図っていくこととしております。
地域金融機関は、このプログラムに基づき、8月末までに機能強化計画を策定し、要約版に関しては全金融機関が公表するように求められております。
この計画では、地域貢献に関する情報開示を初め、取引先企業に対する経営相談、支援機能の強化、担保などに過度に依存しない現金収支を重視した融資などの新しい中小企業金融への取り組み強化を定めるよう求められておりまして、このような金融庁における施策のほか、経済団体等が新しいルールづくりに向けた取り組みを見せておりますので、これらの動きを注視してまいるところであります。
なお、直接の御質問にはならないかとは思いますが、あわせて私どもはやみ金融というものを廃絶するためにヤミ金110番を全国に先駆け設けたものでありまして、これは、やみ金融問題に取り組まれている弁護士等から高く評価をいただけているところであります。
水質の汚濁の点でございます。
脱ダム宣言においても述べておりますように、日本の背骨に位置し、あまたの水源を擁する長野県において、恵み豊かな水環境の保全に努めることは極めて重要でございます。このため、長野県は、本年3月、第3次長野県水環境保全総合計画を策定し、総合的に施策を推進しております。
今後とも、水はまさに命の源であるという原点に立ち、水源県であります長野県民の皆さんとともに、美しく、また安全な水の確保に取り組んでいくことが責務であろうと考えております。
以上であります。
大変失礼をいたしました。2番目の監査委員に関しての御質問の部分でございまして、一般論で、公務員が、法の規定に反し、個人の思想、信条の調査を行い、かつ、事実に反するような情報を流した場合、一般論でどのように県知事はとらえるかという御質問のところでございます。
この形でお答えを申し上げますと、仮にそのようなことがあれば、これは、県民益創出のために働く公務員として、長野県の公務員にとどまらず、あるまじき行為でございまして、この場合、法令に照らして厳正なる処置をする必要があると、このようにとらえております。
○社会部長(堀内清司君)
お答えを申し上げます。
福祉医療制度の改正によりまして7月からスタートいたしました自動給付方式に関連した貸し付け制度についてでございますが、今回の制度改正に伴いまして貸し付け制度を創設した自治体は、現在76市町村でございます。
長野県は、医療費の一部負担金の支払いが困難な受給者のために貸し付け制度を導入すべきとする福祉医療制度のあり方検討委員会の提言を尊重しまして、制度を設置していない町村に対しまして、それぞれの実情等をお聞きしながら、導入について理解を求めてまいりたいと考えております。
以上でございます。
○農政部長(鮎沢光昭君)
お答えいたします。
埋設農薬につきましては、昭和46年に、BHC、DDTなど有機塩素系殺虫剤が販売禁止になったことに伴い、国の指導により全国各地で埋設処理が行われました。
長野県内では、昭和47年に、9市町村11カ所で128トンの農薬が埋設処理されました。
平成13年5月に残留性有機汚染物質に関するストックホルム条約が締結されたことに伴い、国は埋設農薬を適正に処分することとし、県に埋設農薬の実態について調査依頼がありました。調査の結果、昭和47年に埋設したもののほか、1カ所50キログラムの報告があり、国へ報告したところであります。
埋設農薬の処理につきましては、現在、国は処理技術を開発しており、平成16年度以降に順次処理することとしております。
次に、埋設農薬の処理経費の負担につきましては、平成16年度の国の概算要求等の状況を見ながら検討してまいりたいと考えております。
以上でございます。
○生活環境部長(大塚武雄君)
お答えいたします。
光害についてのお尋ねでございますが、道路、公共施設の夜間照明は交通安全上の確保やそれから防犯上必要なものでございます。しかし、不適切な照明は、エネルギーの浪費であるばかりでなく、居住者の安眠妨害や農作物の生育障害などの影響を及ぼします。
このため、県では、平成10年3月に環境省が策定いたしました光害対策ガイドラインを踏まえ、道路照明の設置に当たっては照射範囲や照度が必要以上にならないよう配慮しております。
また、県庁舎や合同庁舎などの屋外照明につきましても、環境保全のための率先実行計画の一環として、点灯時間の短縮や点灯本数の削減を行ってきているところであり、引き続き、省エネ対策を含め、環境保全に一層努めてまいります。
さらに、市町村や関係業界団体等の皆様方に対しても、良好な照明環境の実現のため、ガイドラインの周知を図ってきております。
今後も引き続きガイドラインによる施策を積極的に推進してまいりますとともに、光害防止は地球温暖化防止対策に資するものでもありますので、条例の必要性についても関係部局と連携を図りながら今後検討してまいります。
次に、乗鞍岳の交通規制についてでございます。
乗鞍岳山頂のマイカー規制につきましては、2年余りに及ぶ地元での協議、準備期間を経まして、本年7月1日からスタートしたものでございます。夜間の通行につきましては、昭和54年以来、道路交通の安全性の確保から、車種を問わず通行禁止となっていたものでありまして、今回の規制においてもそれを継続したものでございます。
お話のございました山頂での夜間の星空観察につきましては、バス、タクシーで夕方までに山頂に上がっていただき、山頂の宿泊施設を利用しながら観察をしていただく方法がございます。
安曇村では、このマイカー規制の導入に当たり、環境保全型観光地宣言を行い、自然環境に配慮した観光地づくりを目指しております。
環境との調和を図りながら乗鞍岳の自然を多くの方に体験してもらうような配慮をとの要望でございますので、地元関係者や安曇村と検討してまいります。
以上でございます。
○土木部長(小市正英君)
ローカルルールについてのお尋ねに順次お答えを申し上げます。
最初に、道路整備におきましては1.5車線道路の整備を進めることとしておりますが、これは、より効率的な道路の整備を進めるため、地域の皆様の御理解を得ながら、交通量、地形状況等を勘案し、地域の実情に合った長野県独自の規格によりまして、早期に効果があらわれる道路整備を進めるものでございます。特に、中山間地域の道路等、交通量の比較的少ない路線につきましては有効かつ効率的な方法であると考えております。
現在の状況でございますが、本年度、長野モデル創造枠予算といたしまして、既に継続中の箇所で計画見直しにより早期に効果が期待できる南牧村広瀬等5カ所を県単独事業により進めているところでございます。今後とも、有効な路線につきましては拡大取り組みを進めてまいりたいと考えております。
また、河川事業におきましては、先ほど毛利議員の質問にもございました岡谷市の大川で実践をしておりますが、長野モデル創造枠といたしまして、市街地の洪水被害の軽減を図るため、河川改修と組み合わせたいわゆる総合治水対策の検討を進めておるところでございますが、今後、この箇所の調査、検証を行いながら、他の箇所へも拡大を図ってまいりたいと考えております。
いずれにいたしましても、それぞれの事業におきまして、限られた事業費の中でより事業効果を高めるため、地域の実情に応じた整備手法や施工方法等の創意工夫に努めてまいる所存でございます。
次に、小規模修繕・修繕契約希望者登録制度の創設についての御質問でございますが、中小建設業者の受注機会の確保を図るため、公共工事の発注に当たりましては、従来から、工事の内容や規模、地域性等を勘案し、できる限り分離・分割発注を進めております。特に、受注機会の少ない小規模な建設業者の入札参加機会の拡大のため、予定価格500万円未満の工事につきましては参加希望型指名競争入札を試行しております。今年度は、昨年度に比べましてさらに発注件数を多くし、約200件を予定しております。
また、土木部の小規模補修工事につきましては、請負金額200万円未満の緊急を要するものにつきましては、あらかじめ公募によりまして工事への参加者を募り、担当日を定めた当番表により工事を発注する方式を行っておるところでございます。
次に、小仁熊ダム湛水池の亀裂対策についてでございますが、小仁熊ダムにつきましては、ダム本体が完成をいたしまして、平成14年10月8日に、ダムの安全性を最終的に確認するための試験湛水を開始をいたしました。本年3月26日に最高水位に到達をいたしました。その後、安全確認後、徐々に水位を下げてきたところでございますが、水位がかなり下がった6月3日にダム貯水池周辺斜面の一部に亀裂の発生を確認したところでございます。亀裂は、1センチから6センチぐらいの幅で数カ所発生しております。発生場所はダム全体の湛水の中間ぐらいでございますが、亀裂の発生近くをつけかえ村道が通っておりますので、安全のために村道を現在通行どめにしているところでございます。
なお、亀裂の変位等を確認するため、伸縮計をその後設置をして観測をしておりますが、新たな変状、さらに拡大等は見られません。
現在、原因の解明、対策の検討等を行っておりまして、できるだけ早く工法を決定をし、早期に対策工事に着手してまいりたいと考えております。
以上でございます。
○6番(備前光正君)
時間がありませんので、小仁熊ダムのことですけれども、今回、雑誌でですけれども、ダム建設そのものが巨大地震を誘発しているという指摘がなされております。今回の事故を機に徹底検証をしていくべきだと思いますけれども、これにつきまして知事の見解をお聞きいたしまして、すべての質問を終わります。
○知事(田中康夫君)
ただいまの件でございます。
まず、小仁熊ダムに関しましては、私が報告を受けまして即日これを表現者の方に公表したところでございます。改めてその後の状況を土木部から確認するとともに、私もできるだけ早い機会に小仁熊ダムの現地を調査をいたし、対策を考えたいと考えております。
また、今議員からお話がありました、ダムというものの水位の変化や水圧の上昇がある意味では地震を誘発するのではないかということは、これは学会においてもかなり古くから語られているところでございます。イタリアのバイオントというダムは、このダムをつくりました直後から地震が起きまして、大きな津波が地震によって発生をして死者が2,000人を数えたというようなケースは、これはアメリカやインドにも同様の事例がございます。
長野県は大変にダムが多く、また、現在、長野県の西部におきましても地震が頻発をいたしておりますので、この問題に関しましても即時抜本的に私どもの対策を講じたいというふうに考えております。 |